虚國嶽

地獄のような天国への階段

 一年前の2018初頭、我々にとってのスノーシーズンを終えた後、「今年の春先は、中途半端な長距離ドライブを強いられるこの山界隈を、トレックしましょうかね!」と思い一週間ほどキャンプ地等を調査していた時の話です。さて、出かけようとかという直前に「硫黄山、250年ぶりの噴火。噴煙、約500メートル !」というニュースが出ました。 霧島山界隈の硫黄山なんてのは、そのエリアの遊び場の中心であり、登山口駐車場から駆け上がれば10分や20分という場所に位置する火山なのです。もし活動が落ち着いても、この登山口だけは無理だろうし、もう一つの登山口からは、地獄のような天国への階段を登って山頂へ至るルートなので、、「嗚呼、この山はヘタするともう、自分が生きてる間には登らないな……」と積極的な忘却リスト入りだったのです。

寝耳に水

 その後、噴火警戒レベルは3から2へと下がっていたところに先日、2019年4月も半ばを過ぎて突然、「噴火警戒レベル2から1へ!えびの高原からの登山道が再整備の上、開通!」というニュースが出たのです。すぐに様々なSNS等で続々とトレッキング記録が公開され、登れる時に登っておこうという皆さんのノリに巻き込まれつつ、行って参りました、えびの高原。折りしも天気は快晴!

硫黄山

 しかしながらこの登山道は、噴火口のすぐ脇を辿っていると記憶していたので、一年前に噴火したばかりなのにそのへんどうなんだ?という一抹の不安はありました。それもつかのま、やはり新しく大きな迂回ルートが踏み固められて、火口には近づく事さえ出来なかったので、まぁ安心したような残念なような……

からくにだけ

 最後に登って10年以上経つ、この山頂は久しぶりに見るとやはり阿蘇とはジオグラフィー的にも別の趣でした。この縁に立つと、画像で観るよりは20倍位のスリルを感じるタマヒュンなスポットとなっています。

虚國嶽

 ところでこの山……誰がなんと言おうと、何もない空虚の地という意味をこめた、カラクニ ……「虚國嶽」「からくにだけ」に相違ない事は、薩摩藩編纂の三国名勝図会により明白なわけで、国立国会図書館がデジタルアーカイブしている、アドレスhttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992144 (コマ番号16)により誰でも確認できます。近代になって、現在の漢字に当て直した方の意向の向きはもはや知りようもありませんが、日本が本当に懐の深い国、という事だけは確かです。

改元記念

 平成も残りわずかとなった4月下旬……新しい時代に向けて我々も旅と仕事に邁進していきます!……という気分も無くはなかったのですが……とりあえず振ってみました日本国旗。この清清しさを記述する事は断じて無理です。私は物書きの端くれですから、あらゆる旅や出来事をテキストでも表現し、残そうとする人間ですが、それでもやはりこの気分は、言葉で表現する気にならない……と言ったほうが近いと思います。

地獄のような天国への階段を降る……

 頂上で皆様方とひとしきりコミュニケーションをとって撮影会も終わり、午前もまだ早い時刻だったので、眼下に見える大浪池のほとりで昼食をとろうということになりました。そこへ至るルートが、登りでは絶対に辿りたくないという例の木製階段です。下りに使うんだったらまぁまぁ安全なので景色も楽しみながらで便利だな……という自分勝手さは考えません。

大浪池

 九州で山登りをやる人間どもにとって、そう珍しくはない火口湖です。しかし何処へ流れ出る事もない、ある意味淀んだ池ではあるのですが、これだけの巨大な(円周2キロ以上)サイズともなると、何ともいえない神々しさが漂います。

昼食

 頂上から90分くらいかけて池のほとりに降りてきました。正午あたりにこの陽気で、小さくサイトを整えてしまうと多くの場合、オーバーステイの確率が高くなります。

「気をつけなはれや!」

オレンジピールの贅沢サンド

 この手にした小ぶりなサンドイッチ……原材料は、パン(ミルクハース生地、オレンジピール)クリーム(レーズン、ブランデー、クリームチーズ、バター、蜂蜜)等を使用した、外も内も全て手作りの超高カロリー行動食なのです。相方のこの表情は、「運動不足で代謝の低い人が食べると必ず太りますので、気をつけなはれや!!」という表情だそうです。

結び

 ここが何山であろうとも我らが愛犬サニーは、日いづる国の畏れ多い自然を愛していくそうです。

2019伯耆大山

 本日、無事に自家用車のタイヤを夏用にチェンジし、2019初頭の雪山シーズンを終えました。今年は山口県、広島県のスキー場の山で、GPSに頼って山肌を徘徊してみたり……とても有意義に、そして安全に遊ぶ事が出来て良かったと思います。

 写真撮影に関して言いますと、自分のイクイップメンツに今更、嗜好の変化が訪れました。それはズバリ焦点距離35mm.の画角です。

 例えばご覧のような、広い視界が見渡せる尾根が特徴の山を登った時、やはりその雄大さを写そうとすると当然広角レンズを持ち出したくなるのが多くのカメラマンの心情だと思います。

 しかし僕は今回の旅の直前に、ある大御所の映画カメラマンがインタビューに答えて 、35mm.以上の広角レンズで得られる画角を、不自然なものとして全否定するような話をしているのを観て……これがどういうわけか耳に残り、ついつい今回35mm.を多く使用しました。

 結果は……まぁ確かに……なんでもかんでもフレームに入れりゃいいってもんじゃ無いよな……というのを理解したという。意外と普通の結論でした。

 山写真では、機材を何でもかんでも持っていける訳では無いので、何かしらの縛りというか不自由さを逆に楽しむ気持ちは大切だと、改めて感じた次第です。

文_城代トシフミ

伯耆大山(積雪期)

避難小屋

 伯耆大山には六合目避難小屋という山小屋があり、そこまでが樹林帯でそれより上が左右を見渡せる急登の稜線となっています。

直登稜線

 この六合目避難小屋から山頂台地までの直登は、真っ白の積雪期だと見方によってはかなりの傾斜角を持つ危険な斜面に見えます。ここがもし標高3000mを越えていて、アイゼンの歯が10mm.しか刺さらないバーンになってます……なんて状況だったら、我々もそう気軽に踏み込めませんし、登山者は何十分の一にも減少すると思います。

 しかし幸いにもここはそれほど過酷な標高でもないので、(これは現地ガイドの方には絶対怒られますけど……)仮にアイゼンが無かったとしても、しっかりしたキックステップで、つま先を雪面の強い層まで20cmは放り込む事が可能なので、ある程度確実に上り下り出来るのです。

下山

 一般的な登山では、登ったらその後、下山しなくてはなりません。そして山の斜面というものは下から見上げるのと、上から眺めるのでは……これはかなり心理的に隔たりがあります。我々チームは人間二名、犬一頭のメンバーですから、全員無事にという事を考えると、「油断大敵」という言葉が頭を駆け巡る瞬間なのです。

 しかしまぁ、この程度で毎度毎度緊張していたら神経が持ちませんし、登山なんて止めて向こうに見える弓ヶ浜で散歩などしている方が賢明です。ですが下りは少々歩き方にコツがいるかも知れません。登りよりはるかに一歩一歩を確実に……という意識が必要です。まず踵キックステップで、つま先を絶対に下る方向に向ける事無く、確実に斜め上につま先が向く位の意識でそれをキープしながら踏み出します。踵を踏み込んだ最初は必ず雪の層と一緒に3~40センチは下方にズズズィーっとスリップしますが、必ず止まります。それが確実に止まるかその直前までもう一方の足を出してはいけません。ここでビビッて歩幅を極端に狭くして自重を全く利用なさらない方もいます。(雪山歩行技術において、ピンからキリまでのレベルの方が一同に会しているのが大山の夏山道です。)

ハットリ君

 我が家では夫婦二名の片方がワカン、片方がスノーシュー……という装備で樹林帯の深雪をトラバースします。これはそれぞれのギアに得手不得手があるというのが理由で、地形によってお互いをカバーしようと言う目論見です。ワカンを「ハットリ1号」、スノーシューを「ハットリ2号」と呼んで毎回使用技術に鍛錬を積んでいるのです。下の写真では愛犬サニーの四肢がほとんど埋まっているわりに、パートナーの両足首が全く沈んでいないことが良く分かりますね。これがハットリ君の価値です。もうどうせならスノボで滑っちゃえ、と考えるのがマジョリティーだと言うのは、我々も共感します。がしかし……我々がやりたいのは「旅」ですから、ここはその気持ちをぐっと抑えて、「上から下へ」のみに重きを置くアクティビティーには没頭できないのであります。

元谷

 そうしているうちにすっかり陽は傾き、大山の一日が終わりかけます。後は元谷の中を南光河原駐車場まで、地形が頭に入っている方なら自由に川を渡ったり渡らなかったりしながら、自分たちだけの道を突き進めば必ず下山できます。冬季の大山登山で一番至福ののひとときです。

(文/城代トシフミ)

karrimor beaufort 3L jkt review 

「karrimor beaufort 3L jkt」登山用品メーカー、カリマーの3レイヤーレインジャケット「ビューフォート3Lジャケット」Silver Gray を通販サイトで購入しました。

 耐水圧15,000mm /透湿50,000mm/本体180g というのがどういうことかと言いますと、まず耐水圧の方は普通に雨の降る山道を一日歩き回っても衣服内に雨が進入して来る事はまず無いという事。しかし山歩きをなさる方の全員にとって、大敵は「雨水」ではなく自分の体から分泌される「汗」だというのは周知の事実。これに対処する機能指標が「 透湿 」の数値……これが50.000mmというのは、まぁ現在全ての選択肢の中でも頂上レベルであることは間違いありません。重さ180gと言うのは、小さく畳むと手のひらサイズなので、シルバーの製品であればコンビニ袋と間違えかねないので要注意と言うくらいのコンパクトさです。

 畳んだサイズはしかし、さほどはどうでもよくて、やはり通販では着たサイズ感が一番の悩み所です。メーカーによってはヨーロッパのMサイズが体幹周りはちょうど良くても、脇から二の腕周りがとても窮屈だったり、Sサイズが妙に巨大だったりと、本当に油断もすきもありません。

 此方の都合も問題になります。例えば荷物がミニマムなファストハイクで、おにぎり休憩のみを予定している場合と、がっつりストーブを焚いて一時間くらいは昼休憩を予定している雪山とでは、当然装備が違うのは当たり前ですから、どのような使い方をするのかイメージを固めるのがまず第一です。

 僕の場合、雪山の頂上である程度の寒風に吹かれ、あるいは雨に近い霙に降られ、それでもサーモスのお湯からスープやコーヒーを準備してしばし温まろうという気分のシーンを想定しています。

 参考までに、気温が摂氏零度(あるいはマイナス、)の標高2000m以下クラスの雪山での僕の衣服装備は、まずファイントラックのお馴染み半そで下着、そしてアイスブレーカー*Icebreakerの中厚メリノウール、そして一番上に高機能のウィンドシェルで、思い切って外に飛び出します。あまりに寒ければ首にヤク毛のマフラーをぐるぐる巻いておきます。手と首が各種厚手ウールで保温されていれば大概の登りシーンはそれで十分だと思っているのです。(西日本ならねw)

 今回購入した「karrimor beaufort 3L jkt」は頂上での休憩シーン、そしてスノーシューで森の中を遊びながら下りてくるようなシーンをイメージしていました。ザックの中にはダウン、フリースやインサレーションが入っていて、そのどれか、あるいは全てを着込んだ上からこのレインジャケットで包み込むような感じです。

 ですから選択したサイズは思い切って「L」。

 これは袋を開けた瞬間に、「あ、大きすぎたな……」と思いましたがしかし、中にダウンその他を入れる事を考えると、今回はこのサイズでフィールドに出てみようと思いました。そもそも今までに購入したあらゆるアイテムが、シルエットを気にするあまりジャストサイズ過ぎるものが多く、空気の層を感じる事があまり無かったというのもあります。(ちなみに僕の身長は173cm、ご覧のような体型です。)

 さて、これほどごたくを並べておいて、まだ実際に使用していないというはいかがなものか……とは思うのですが、使用所感などはネット上のどこを見てもどうせ主観的な話が多くなるし、十人十色千差万別の体型や行動パターンの中で他人様の主観からイメージするのはかえって紛らわしいかなとも思います。

 というわけで3月の行動が楽しみです……(もう西日本の雪山は終わりそうですが……w)(文/城代トシフミ)

Plaubel makina67

「Plaubel makina67」という中判写真機との付き合いはもう15年くらいになります。
寄って良し、離れて良し、絞って良し、開放して良し……NIKKORのf2.8/80mm.を蛇腹にマウントしてレンジファインダーという、機械好きの心を絶妙にくすぐる酔狂な機構なのです。
しかしこれがまた格好だけではないスキルを秘めています。
写真なんてシャッター押せば誰でも撮れるわけで……どんなレンズで覗くのかが全てだと考えていますから僕は自分の腕など大して信じてはおらず、何処かの職人さんが削って磨いて張り合わせて生み出していただいた一品を、尊敬の念で操作してるだけなんです。

Hand-to-mouth

我が家が購入する市販の食品における禁忌成分リスト
(要するにこれが入っていたら絶対に買いませんって事……)

*1.カロリーOff…と書かれたスポーツドリンクその他に必ず入っている甘味料
「アスパルテーム」「アセスルファムK」「スクラロース」

*2.ジュース類、甘いコーヒーのほとんどに入っている超安価な甘味料
「ブドウ糖果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」

*3.大量生産の食パン(イースト菌の手っ取り早い発酵促成)
「イーストフード」

*4.加工肉(ウインナー、ベーコン)等、酒のつまみの美味いやつにほぼ入ってる
「リン酸Na」

*5.菓子パンその他にほぼ入っているサクサク成分……別名トランス脂肪酸
「ショートニング」「マーガリン」

*6.黒いジュース、調味料、即席麺にだいぶ入ってる、見た目を美味そうにするやつ
「カラメル色素」

*7.チョコレート、チーズ……様々な添加物と原材料を馴染ませる、添加剤の中の添加剤
「乳化剤」

成分を解説するにあたって、主観的な用語を使用しています。疑問をもつ方は、それぞれの成分名に合わせてネガティブなワードを添えてググって下さい。例えば「ショートニング 発ガン」とか……
「そんな事言ってたら、何も食べられなくなるでしょ……」という反論が聞こえはしますけども……そんな事はありません。他にも食べるものは沢山あります。だけどこの7種類の成分を完全にチェックして無関係に生きていくには、多くの品を「自分で作る」しかないということ……つまり身を惜しんではいけないという、シンプルなお話なのです。
実際には、健康に生きていくための食糧計画はこれだけでは済みません。肉、野菜類にしても、産地の問題や農薬の問題。GMOの問題等、あらゆる事を検討して家族の口から入る食品をマネージメントします。

こういう事をおろそかにしておいて、愛も哲学も語れません。

犬小屋(人間用)

犬との生活で、山中でのテント泊というのは一つの醍醐味です。

とは言えオートキャンプのように、快適装備の一切合財を車に詰め込んで現地に横付けするというスタイルとは程遠く、40リッターなり70リッターなりと言う、限られたザックスペースに収まる範囲内の荷物しか持ち込めませんので(現場までのアクセスは徒歩のみですから~)かなりギリギリの取捨選択が必要となります。

山歩きに対応する軽量テントといえば、昨今ではドーム状のものが主流ですが、我が家では少し重量は嵩むのですが変なこだわりで、昔ながらの家の形をしたノスタルジックなテントを愛用しています。

その変なこだわりとは、犬が出入りするのに違和感が無いように感じるという事……

つまり……


こんな雰囲気より……

こんな感じのほうがしっくりくるじゃないかってお話……

大きな犬小屋に人間もお邪魔して一晩を過ごすという、犬にとってはこの上ない幸せのひと時を演出しようという飼い主心の現われです。

犬に対しては常に、そして確実に愛情よりも規律を優先する我々夫婦が、唯一、犬の目線に降りて時間を過ごす瞬間なのです。

逆光


あえて太陽を向こうに回して被写体に対峙すると、まぁ露出計を1センチ動かしただけで数値は簡単に乱高下するわけです。昨今の機器が勝手にやってくれる平均測光なんていう考えは毛頭ありませんし、少し羽根を絞ろうなんて気もさらさらありませんので、それ以外の写真機の設定要素はシャッタースピードしかないのです。フィルム感度という要素はありますが、これもあらかじめASA400がブチ込んであるのでこの瞬間にどうのこうの出来やしません。夕暮れのこの時間帯になるともう場合によっちゃ、画面右上の交差点あたりに停車した車のブレーキランプくらいが解るくらいで、後は全部真っ黒シルエットになるのがおちです。そこでなるべく遅いシャッタースピードをと言う事で、50ミリレンズだから30分の1秒まではいけるかな…という判断になるのです。そうするとこの、製造からおおよそ55年は経過しているであろうと思しきSerenar 50mm F1.5の、研磨、コーティング状態から察するに、ご覧のような、虹が上下にひっくり返ったようなフレアが出現するのです。ここまでがあらかじめの想定内なわけで、オールドレンズで写真を撮るとはこういう作業なのですよ、というご紹介です。


城代トシフミ

けもの

「ヒドい」「よく言った」と賛否!とある家に貼られた、愛犬家への『警告文』

ある男性が自分の家の敷地で周辺に向け、ひとつの貼り紙を出したそうです。

その内容はというと、近隣の飼い犬達がそこで糞尿を撒き散らす事に耐えかねていて、もしそれが発覚した場合は木刀で犬の頭を割って撲殺すると宣言するものであった事が、話題になっています。

追伸において、この男性は以前に何かの研究室で、犬・うさぎ等の小動物をゴミ袋で処分する事についても長じている、という脅迫的内容も告知すると言う念の入れようだったそうです。

散歩の最中、他人様の敷地内に飼い犬の糞尿を撒き散らすばかりか、それを放置する飼い主の行為に、我慢なら無い男性の思い余った警告だと思いますが…しかし犬を飼っている自分のような立場の者でも、この方の言い分を全否定する事は出来ませんし、むしろ共感すら感じてしまいます。

糞尿の処置は人にとって日常であると同時に、人間集団の営みの中ではとりわけ高度にそのルールを守る必要のある行為だと言う事に誰も異論は無いでしょう。平たく言いますと排泄行為はトイレでのみ許されていると言う事…

そして人に飼われた犬達は例外だろうという考えが、どこかで肯定されたことなど一度も無いにも関わらず、その事は世間において、「ワンちゃんのウンチは拾って持ち帰る」というようなざっくりしたマナー、あるいはそういうふんわりした概念で包まれたまま、白々しさと共に放置されているのが現況だと思うのです。

往来ですれ違う際、不快な声でワンワンキャンキャンと吠えたり唸ったりする事や、後脚で立ち上がって気軽に前足を人にかけようとする事…飼い主のリードを常に最大の張力で引っ張り、場合によっては相手を襲うような仕草を見せる事…このような全ての行為を躾で未然に防ぐこと等も「マナー」の範疇に入ってしまっているふしがあるかもしれない、というのも大きな問題だと思います。

もしも人間の子供が生命を尊重出来ない観念で12~3歳まで育ってしまって、世間様に迷惑をかけるに至った時、そういう「躾」が欠落していた親に対して「マナー」がなっていないという表現で済ませられるものではありません。

しかしペット動物に関しては、なんでも「マナー」という、あたかも寛容性があるかのような表現でお茶を濁されている事が、ペットを飼わない人との摩擦を生む要因になっていると考えられるのではないでしょうか。

「子供嫌い」の人にも「犬嫌い」の人にも、必ずその発端となる経験や出来事があったと考えるのが妥当です。子供を嫌う為には実際に子供と触れ合う以外に、それを経験する事は出来ませんし、犬を嫌いになるのもそれは犬が関係する出来事からしかそうはならないのは、当たり前なのです。

つまり発端は犬の飼い主に原因の100%があると考える事に、不都合も無ければこじつけも無いと考えて間違いはありません。

そこで犬の躾が出来ていない人たちに一言申し上げたいのは…もう取り返しがつかないほど、犬等の飼い主とそうでない人は双方に分かれてしまっていて、寛容の無さすぎるルールが増殖しつつあるかも知れません。自分の犬の躾を直ぐに全力投球で行うか、それが出来そうにないのに犬を買い求めようとする考えを改めるか、どちらかにするべきだということなのです。

自分の犬が体重3キロであるが故に、抱き上げて制止する事で全てを誤魔化せると勘違いしている飼い主の方々、犬に癒しを求めるのみに終始している方、犬に完全依存している方、皆さんにも同じ提言をしたいと思います。

人間社会において、生命を全く尊重しない猟奇殺人が起こった時、その被疑者を「サイコパス」「悪魔」「獣」という形容詞で飾るような報道はよく見られます。私たちが家族として愛しんでいるものは、その深い意味は違えども同じ漢字を当てられた「獣」であるわけです。

すくなくとも「ケモノ」とは後ろ指さされないような躾を犬に与えてあげましょう…彼らのためにも。

最後に犬の撲殺を宣言した男性に一言…

人にも犬にも失敗はあります。そこに偏狭な判断で反社会行為に及ぼうとなさるなら、此方も戦う事になります。少なくともあなたのように木刀を持ち出すような「ケモノ」まがいの行為はいたしませんが、あなた様にとっても、相当面倒な事態に追い込まれる覚悟をしておきなさいと、警告しておきます。

●城代トシフミ

 

あなたはどうして山に登るのですか?

「あなたはどうして山に登るのですか?」(再掲載)

釣りが趣味の人を捕まえて、「あなたはどうして魚を釣るのですか?」と質問したり、サッカーをやってる人を捕まえて、「あなたはどうしてボールを蹴るのですか?」と質問するようなシーンはあまりお目にかからないし、そんな事聞く人がいたらそれは反対に「なんでそんな事聞くの?」と怪訝に思われるのがオチです。

けれども登山をやってる人が「どうして山なんか…登るのですか?」と聞かれる事は、昨今少なくなってきたとはいえ、やはりある事はあります。そこで今更なんですけど、改めて自分の気持ちにそれを問うてみたくなりました。


「山頂の爽快感がたまらないから…」
「山でお湯を沸かして淹れたコーヒーは格別だから…」
「森歩きで癒されるから…」
「家族がやってるから…」
「健康の為…」

とまぁ、少し考えると色々思い浮かびはしますけれど、どれも自分たちにとっては全くどうだっていいとまでは言えないにしても、さほど重要な理由とは言えません。

「犬が活き活きとして喜ぶから…」わたくしが登山する理由はやはりこれなんです。


かれこれ15年くらい前の話を持ち出してみます。

わたくしは友人夫婦の家にしばしばお邪魔していました。彼らは当時小学一年生の男の子を持つ三人家族で、そこのご主人が大の野球ファンだったこともあり、ある時一緒にドーム球場にホークスの応援に行こうと誘ってくれたんです。

地元球団が初めて優勝争いを展開しているシーズンだったので、球場の熱気はひとかたならぬものでした。どちらかというと厳しい躾方針の父親に対し、普段の印象はとても大人しく、いつも母親である私の友人の影に佇んでいるような印象だった幼い息子さんも、その時は球場の雰囲気に馴染んで明るい表情でした。

そして終盤戦、ホークスから逆転打が放たれスタンド全体が我を忘れて熱狂した時が盛り上がりの絶好調で、わたくしたち大人三人も立ち上がって声援を送ったのですが、その時見た息子さんの姿が忘れられないのです。

幼い彼も一緒に立ち上がって、今まで見た事がないような輝いた瞳で、やはり大きな声援を送っていたのですけど、彼が見つめる視線の先はグランドの選手たちではなく、我を忘れて熱狂している自分の父親の顔だったのです。それを横からちらちらと何度も見つめ、むしろその姿に感激しているようでした。

子供は、自分の親が真剣に遊んで熱狂している姿が1番好きで、そんなシーンの思い出が強く残ることで情緒が豊かに育つのでは…と思ったのです。


今のわたくしは「真剣に遊ぶ」ってどういうことだろうと考えるときがあります。

魚釣りが趣味の人は、「魚を釣り上げる…」という事、そしてサッカーをしている人は「ゴールネットにボールを蹴って放り込む」事が明確な意図だと思います。つまり「意図」に向かって「情熱」を傾ける事が真剣に遊ぶ事であって、しかも遊びだから生産性など気にする必要も無く、「意図」に対して純粋である程、真剣に遊んでいる事に他ならないと思うようになってきました。

そうなると逆にナルホドと納得してしまうのは、山登りは、釣りやサッカーのように明瞭な意図が見えにくい側面があるということ。

しかも有名な先人の登山家がそれを問われた時に、「そこに山があるから」と言ったとか言わないとか…そんな謎かけのような意味の無い言葉が独り歩きし、より一層部外者に共感されにくい原因になっていったようにも思います。

わたくしたちの「真剣な遊び」は「山でオオカミの群れのように行動する」ってことなんです。オオカミの意図はきっと、食料となる獲物を獲得することです。

その為には目的地に、ある一定の時間内に到達するという意図をハッキリ持っていなくてはならないと思いますから、わたくしたちも山行では必ず時間を計りますし、その数値はある程度挑戦的でなくてはいけません。そしてオオカミたちがいつも全力疾走しているとも思っていません。時にはじわじわと間をつめないと、獲物だって逃げもするでしょうし…ですからわたくしたちもじわじわと歩を進め、より長く遠い山頂を目指す事もあります。

それがわたくしたちの真剣な遊びなんです…


犬メンバーのサニーは野良犬ではないので、当然食料に困る事もなければ、安全な寝床にも不自由しません。

そんなサニーの生を完全燃焼させるためには、友人の息子さんと同じく、「真剣な遊び」が必要だと思っているのです。しかも飼い主でありリーダーであるわたくしたち夫婦が、同時に集中し、熱狂し、そして一緒に消耗できる本当の遊びが…

ただボールや円盤を放り投げて取りにいかせたり、可愛そうな羊たちを追いかけさせ、その姿を眺めて喜ぶような事が、「真剣な遊び」だなんて到底思えないし、もし犬たちが明確な記憶を持つとしても、そんな事が良い思い出になるなんて想像も出来ないのです。

さらに言ってしまうとその山登りにしても、ただ山頂に向かってそぞろ歩いてみたところでその辺りの景色なんて10分で見飽きますし、目から飛び込んでくるだけの情報がいつまでも新鮮なわけは無いのです。

山や森は体で感じるものですから…


こんな理由で、わたくしたちの「真剣な遊び」は常に「情熱と意図」を帯びます。「明確な意図を持った情熱」の事を、尊敬するアメリカのドッグトレーナーは「エネルギー」と呼びました。

今年もわたくしは、どんな事に対しても「エネルギー」の大小を基準に物事を考え、サニーを導いて生きて行きたいのです。

「さて今晩の献立は何にしようかしら??」と迷う時…「野菜炒めとお味噌汁…」と考えるのか、「がっつり牛タンステーキ!!」と考えるのかも、エネルギーの大小問題の一つなんです。(いえ、野菜炒めがダメとか言ってるのではなく、少し抽象的な意味合いでw)

野菜やら格安ドッグフードで、犬から信頼されようなんて考えている人がいたら…「人間界も野生もそんなに甘くはありませんよ!」と教えてあげたい(笑)

さてわたくしも頑張って食費を稼ぎます!


●城代有里砂

 

邂逅…2011/10

2011年の10月に、ネットの通販サイトでこいつと出合ったんです。~城代トシフミ

その時は、別にペットの生体販売について、その様々なスタイルにあれこれコメントできるほど知識も無ければ哲学もありませんでしたよ…

ただ、「ペットショップで実物を抱っこでもしてみてから買った方が安心かな…」とか「生き物を買うのに通販なんてやっぱマズいだろ…」とかそういうもやもやした気分の中で、このような写真をプリントして持ち歩き…「やっぱこいつは愛せるかも…」というある一種のノリで購入した事は正直に白状しておきます。

後から得た知識としては、通販だろうと何だろうと、とにかく生後3ヶ月から4ヶ月…いや場合によってはもっと長く生みの親の元で母乳を飲み、遊び方の指導を犬同士で直接受けた仔犬が望ましいだろう…という事を知り、結果オーライだったなと今でも思ってはいます。