2019伯耆大山

 本日、無事に自家用車のタイヤを夏用にチェンジし、2019初頭の雪山シーズンを終えました。今年は山口県、広島県のスキー場の山で、GPSに頼って山肌を徘徊してみたり……とても有意義に、そして安全に遊ぶ事が出来て良かったと思います。

 写真撮影に関して言いますと、自分のイクイップメンツに今更、嗜好の変化が訪れました。それはズバリ焦点距離35mm.の画角です。

 例えばご覧のような、広い視界が見渡せる尾根が特徴の山を登った時、やはりその雄大さを写そうとすると当然広角レンズを持ち出したくなるのが多くのカメラマンの心情だと思います。

 しかし僕は今回の旅の直前に、ある大御所の映画カメラマンがインタビューに答えて 、35mm.以上の広角レンズで得られる画角を、不自然なものとして全否定するような話をしているのを観て……これがどういうわけか耳に残り、ついつい今回35mm.を多く使用しました。

 結果は……まぁ確かに……なんでもかんでもフレームに入れりゃいいってもんじゃ無いよな……というのを理解したという。意外と普通の結論でした。

 山写真では、機材を何でもかんでも持っていける訳では無いので、何かしらの縛りというか不自由さを逆に楽しむ気持ちは大切だと、改めて感じた次第です。

文_城代トシフミ

伯耆大山(積雪期)

避難小屋

 伯耆大山には六合目避難小屋という山小屋があり、そこまでが樹林帯でそれより上が左右を見渡せる急登の稜線となっています。

直登稜線

 この六合目避難小屋から山頂台地までの直登は、真っ白の積雪期だと見方によってはかなりの傾斜角を持つ危険な斜面に見えます。ここがもし標高3000mを越えていて、アイゼンの歯が10mm.しか刺さらないバーンになってます……なんて状況だったら、我々もそう気軽に踏み込めませんし、登山者は何十分の一にも減少すると思います。

 しかし幸いにもここはそれほど過酷な標高でもないので、(これは現地ガイドの方には絶対怒られますけど……)仮にアイゼンが無かったとしても、しっかりしたキックステップで、つま先を雪面の強い層まで20cmは放り込む事が可能なので、ある程度確実に上り下り出来るのです。

下山

 一般的な登山では、登ったらその後、下山しなくてはなりません。そして山の斜面というものは下から見上げるのと、上から眺めるのでは……これはかなり心理的に隔たりがあります。我々チームは人間二名、犬一頭のメンバーですから、全員無事にという事を考えると、「油断大敵」という言葉が頭を駆け巡る瞬間なのです。

 しかしまぁ、この程度で毎度毎度緊張していたら神経が持ちませんし、登山なんて止めて向こうに見える弓ヶ浜で散歩などしている方が賢明です。ですが下りは少々歩き方にコツがいるかも知れません。登りよりはるかに一歩一歩を確実に……という意識が必要です。まず踵キックステップで、つま先を絶対に下る方向に向ける事無く、確実に斜め上につま先が向く位の意識でそれをキープしながら踏み出します。踵を踏み込んだ最初は必ず雪の層と一緒に3~40センチは下方にズズズィーっとスリップしますが、必ず止まります。それが確実に止まるかその直前までもう一方の足を出してはいけません。ここでビビッて歩幅を極端に狭くして自重を全く利用なさらない方もいます。(雪山歩行技術において、ピンからキリまでのレベルの方が一同に会しているのが大山の夏山道です。)

ハットリ君

 我が家では夫婦二名の片方がワカン、片方がスノーシュー……という装備で樹林帯の深雪をトラバースします。これはそれぞれのギアに得手不得手があるというのが理由で、地形によってお互いをカバーしようと言う目論見です。ワカンを「ハットリ1号」、スノーシューを「ハットリ2号」と呼んで毎回使用技術に鍛錬を積んでいるのです。下の写真では愛犬サニーの四肢がほとんど埋まっているわりに、パートナーの両足首が全く沈んでいないことが良く分かりますね。これがハットリ君の価値です。もうどうせならスノボで滑っちゃえ、と考えるのがマジョリティーだと言うのは、我々も共感します。がしかし……我々がやりたいのは「旅」ですから、ここはその気持ちをぐっと抑えて、「上から下へ」のみに重きを置くアクティビティーには没頭できないのであります。

元谷

 そうしているうちにすっかり陽は傾き、大山の一日が終わりかけます。後は元谷の中を南光河原駐車場まで、地形が頭に入っている方なら自由に川を渡ったり渡らなかったりしながら、自分たちだけの道を突き進めば必ず下山できます。冬季の大山登山で一番至福ののひとときです。

(文/城代トシフミ)

karrimor beaufort 3L jkt review 

「karrimor beaufort 3L jkt」登山用品メーカー、カリマーの3レイヤーレインジャケット「ビューフォート3Lジャケット」Silver Gray を通販サイトで購入しました。

 耐水圧15,000mm /透湿50,000mm/本体180g というのがどういうことかと言いますと、まず耐水圧の方は普通に雨の降る山道を一日歩き回っても衣服内に雨が進入して来る事はまず無いという事。しかし山歩きをなさる方の全員にとって、大敵は「雨水」ではなく自分の体から分泌される「汗」だというのは周知の事実。これに対処する機能指標が「 透湿 」の数値……これが50.000mmというのは、まぁ現在全ての選択肢の中でも頂上レベルであることは間違いありません。重さ180gと言うのは、小さく畳むと手のひらサイズなので、シルバーの製品であればコンビニ袋と間違えかねないので要注意と言うくらいのコンパクトさです。

 畳んだサイズはしかし、さほどはどうでもよくて、やはり通販では着たサイズ感が一番の悩み所です。メーカーによってはヨーロッパのMサイズが体幹周りはちょうど良くても、脇から二の腕周りがとても窮屈だったり、Sサイズが妙に巨大だったりと、本当に油断もすきもありません。

 此方の都合も問題になります。例えば荷物がミニマムなファストハイクで、おにぎり休憩のみを予定している場合と、がっつりストーブを焚いて一時間くらいは昼休憩を予定している雪山とでは、当然装備が違うのは当たり前ですから、どのような使い方をするのかイメージを固めるのがまず第一です。

 僕の場合、雪山の頂上である程度の寒風に吹かれ、あるいは雨に近い霙に降られ、それでもサーモスのお湯からスープやコーヒーを準備してしばし温まろうという気分のシーンを想定しています。

 参考までに、気温が摂氏零度(あるいはマイナス、)の標高2000m以下クラスの雪山での僕の衣服装備は、まずファイントラックのお馴染み半そで下着、そしてアイスブレーカー*Icebreakerの中厚メリノウール、そして一番上に高機能のウィンドシェルで、思い切って外に飛び出します。あまりに寒ければ首にヤク毛のマフラーをぐるぐる巻いておきます。手と首が各種厚手ウールで保温されていれば大概の登りシーンはそれで十分だと思っているのです。(西日本ならねw)

 今回購入した「karrimor beaufort 3L jkt」は頂上での休憩シーン、そしてスノーシューで森の中を遊びながら下りてくるようなシーンをイメージしていました。ザックの中にはダウン、フリースやインサレーションが入っていて、そのどれか、あるいは全てを着込んだ上からこのレインジャケットで包み込むような感じです。

 ですから選択したサイズは思い切って「L」。

 これは袋を開けた瞬間に、「あ、大きすぎたな……」と思いましたがしかし、中にダウンその他を入れる事を考えると、今回はこのサイズでフィールドに出てみようと思いました。そもそも今までに購入したあらゆるアイテムが、シルエットを気にするあまりジャストサイズ過ぎるものが多く、空気の層を感じる事があまり無かったというのもあります。(ちなみに僕の身長は173cm、ご覧のような体型です。)

 さて、これほどごたくを並べておいて、まだ実際に使用していないというはいかがなものか……とは思うのですが、使用所感などはネット上のどこを見てもどうせ主観的な話が多くなるし、十人十色千差万別の体型や行動パターンの中で他人様の主観からイメージするのはかえって紛らわしいかなとも思います。

 というわけで3月の行動が楽しみです……(もう西日本の雪山は終わりそうですが……w)(文/城代トシフミ)