地獄のような天国への階段
一年前の2018初頭、我々にとってのスノーシーズンを終えた後、「今年の春先は、中途半端な長距離ドライブを強いられるこの山界隈を、トレックしましょうかね!」と思い一週間ほどキャンプ地等を調査していた時の話です。さて、出かけようとかという直前に「硫黄山、250年ぶりの噴火。噴煙、約500メートル !」というニュースが出ました。 霧島山界隈の硫黄山なんてのは、そのエリアの遊び場の中心であり、登山口駐車場から駆け上がれば10分や20分という場所に位置する火山なのです。もし活動が落ち着いても、この登山口だけは無理だろうし、もう一つの登山口からは、地獄のような天国への階段を登って山頂へ至るルートなので、、「嗚呼、この山はヘタするともう、自分が生きてる間には登らないな……」と積極的な忘却リスト入りだったのです。

寝耳に水
その後、噴火警戒レベルは3から2へと下がっていたところに先日、2019年4月も半ばを過ぎて突然、「噴火警戒レベル2から1へ!えびの高原からの登山道が再整備の上、開通!」というニュースが出たのです。すぐに様々なSNS等で続々とトレッキング記録が公開され、登れる時に登っておこうという皆さんのノリに巻き込まれつつ、行って参りました、えびの高原。折りしも天気は快晴!

硫黄山
しかしながらこの登山道は、噴火口のすぐ脇を辿っていると記憶していたので、一年前に噴火したばかりなのにそのへんどうなんだ?という一抹の不安はありました。それもつかのま、やはり新しく大きな迂回ルートが踏み固められて、火口には近づく事さえ出来なかったので、まぁ安心したような残念なような……

からくにだけ
最後に登って10年以上経つ、この山頂は久しぶりに見るとやはり阿蘇とはジオグラフィー的にも別の趣でした。この縁に立つと、画像で観るよりは20倍位のスリルを感じるタマヒュンなスポットとなっています。
虚國嶽
ところでこの山……誰がなんと言おうと、何もない空虚の地という意味をこめた、カラクニ ……「虚國嶽」「からくにだけ」に相違ない事は、薩摩藩編纂の三国名勝図会により明白なわけで、国立国会図書館がデジタルアーカイブしている、アドレスhttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992144 (コマ番号16)により誰でも確認できます。近代になって、現在の漢字に当て直した方の意向の向きはもはや知りようもありませんが、日本が本当に懐の深い国、という事だけは確かです。

改元記念
平成も残りわずかとなった4月下旬……新しい時代に向けて我々も旅と仕事に邁進していきます!……という気分も無くはなかったのですが……とりあえず振ってみました日本国旗。この清清しさを記述する事は断じて無理です。私は物書きの端くれですから、あらゆる旅や出来事をテキストでも表現し、残そうとする人間ですが、それでもやはりこの気分は、言葉で表現する気にならない……と言ったほうが近いと思います。

地獄のような天国への階段を降る……
頂上で皆様方とひとしきりコミュニケーションをとって撮影会も終わり、午前もまだ早い時刻だったので、眼下に見える大浪池のほとりで昼食をとろうということになりました。そこへ至るルートが、登りでは絶対に辿りたくないという例の木製階段です。下りに使うんだったらまぁまぁ安全なので景色も楽しみながらで便利だな……という自分勝手さは考えません。

大浪池
九州で山登りをやる人間どもにとって、そう珍しくはない火口湖です。しかし何処へ流れ出る事もない、ある意味淀んだ池ではあるのですが、これだけの巨大な(円周2キロ以上)サイズともなると、何ともいえない神々しさが漂います。

昼食
頂上から90分くらいかけて池のほとりに降りてきました。正午あたりにこの陽気で、小さくサイトを整えてしまうと多くの場合、オーバーステイの確率が高くなります。

オレンジピールの贅沢サンド
この手にした小ぶりなサンドイッチ……原材料は、パン(ミルクハース生地、オレンジピール)クリーム(レーズン、ブランデー、クリームチーズ、バター、蜂蜜)等を使用した、外も内も全て手作りの超高カロリー行動食なのです。相方のこの表情は、「運動不足で代謝の低い人が食べると必ず太りますので、気をつけなはれや!!」という表情だそうです。

結び
ここが何山であろうとも我らが愛犬サニーは、日いづる国の畏れ多い自然を愛していくそうです。